The Four Tempelaments
フリーのウェブ関連業務従事者による、仕事とあんまり関係ないブログ。

スケジュールに無理・矛盾がないかを検証して基準とする:Omniplanでスケジュール作成 (6)

前回のエントリーでは、順序設定されたWBS(やること)にそれぞれ必要期間を入力し、クリティカルパスを特定をするところまで行いました。今回は設定した期間の検証や、調整の方法について記載します。

 

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前提:このエントリーは、以下の方を想定して書いています。

  • 普段Webのリニューアル案件等に携わっているいわゆる「Webディレクター」。
  • 仕事がらスケジュール作成やその後の管理をすることが多いが、自分のやり方でよいのかどうか不安に感じている。
  • 通常の進捗管理にエクセルを使用しているものの、そろそろ限界を感じている(Excelとの戦いに倦んでいる)。

なお、前回記事の完成例は適宜以下からダウンロードください。
完成例


 

期日を考慮した調整

前回行った期日の設定では、開始から終了まで60日間、準備が終わるまで43日間必要なことがわかりました。もし、これで問題無ければこの計画で進めればよいですが、そんなに待てない! もっと早くしたい! となった場合は調整が必要になります。

ここでは仮に開始から準備終了までを30日間で終了させることを目指すことにします。

クリティカルパス上のタスクに注目する

前回のエントリーで、クリティカルパスについて触れました。

クリティカルパスはそのプロジェクトを完了させるタスク群のつながりのうち、もっとも時間を必要とする経路です。このパス上にあるタスクの遅れはすなわちプロジェクトの遅れと書きました。

逆に言えば、スケジュールを短縮したい場合は、クリティカルパス上のタスクの調整をしなくてはいけないということになります。

必要期間や順序設定を見なおす

ではクリティカルパス上のタスクに対してどういう調整をすればよいかというと、大きくは以下の3種類。

  1. そのタスクの期間を短くする
    もし余裕をもった期間を設定していた場合はその余裕を取り除きます。
    ※期間の設定については「それぞれにかかる時間を反映する:Omniplanでスケジュール作成 (5)」を参照してください。
  2. 順序設定を見直す
    FS(終了- 開始)の順序設定をSS(開始 – 開始)のようにできるところがあればそのようにして期間を短縮します。
    ※順序設定については「タスクの順序設定をする:Omniplanでスケジュール作成 (3)」を参照してください。
  3. お手伝いしてくれる人を探す
    人を増やすことで作業の短縮が図れる場合は人を追加します(今回は1人プロジェクトなので、これは採らず)

このようにして、プロジェクトの終了や特定のマイルストーンの期日を希望のタイミングになるように調整します。

実際に調整を行ってみる

調整前のクリティカルパスは以下のラインを通っています。

  • 1.2.1.1 お財布と相談
  • 1.2.1.4 どの国(都市)に行くかを決める
  • 1.2.1.4 どこに泊まるかを決める
  • 1.4.3 旅行用品の購入と準備
当初予定におけるクリティカルパス

当初予定におけるクリティカルパス

そのためその経路にある以下のタスクを縮めることにしました。

  • 1.1 お財布と相談 1w → 1d
  • 1.2.1.2ガイドブックなどで調査 2w → 1w
  • 1.2.1.4.2 ガイドブックなどで調査 2w → 1w
調整した結果、クリティカルパスが移動

調整した結果、クリティカルパスが移動

この結果、「1.4.4 準備終わり」が開始から30日目に収まりました。一方でクリティカルパスが以下のラインに移動しました。

  • 1.4.1 パスポート申請
  • 1.4.2 各種手配・支払

つまりこのことは、期日を優先したこのスケジュールで、以下のポイントに注意しなければいけないということを示唆します。

  • なにはともあれ、パスポートの手配を急ぐ
  • 予算は速やかに決定
  • どこに行くか、どこに泊まるか、必要物品の購入は当初より巻いて行う

このように進行上注意すべきところが明確になることで、同時並行でタスクが発生したときにどの優先度で進めて行くべきかということを判断する助けになります。

ここで調整したタスクが要注意タスク

ここで調整をしたタスクが、このプロジェクトのスケジューリングにおける要注意タスクとなります。

本来であれば余裕を持って段取っていたタスクを、期日優先・リスク承知で調整した、そこを積み上げからの調整で明確に認識できました。前回のエントリーで「まずは逆算しない」と書いたのは、この積み上げからの調整でスケジュール上の無理や矛盾、注意点(=リスク)を認識することを目的としています。

期日逆算は時間的な制約が多いプロジェクト運営においてはとても大事。でも、はじめから期日逆算をしないことで見えてくるものもある、ということです。


今回の完成例はこちら


 

最後となる次回は、実際にプロジェクトが走り始めてから進捗の記録と、当初計画との差異がでたときの検出方法について書きたいと思います。

 

Omniplanでスケジュール作成 記事一覧

  1. プロジェクト管理ツールのススメ
  2. タスクを書き出す・構造化する
  3. タスクの依存関係と順序設定のパターンを知る
  4. タスクの順序設定をする
  5. 関係者を洗い出してタスクに割りあてる(リソース制約の考慮として別途記事化予定)
  6. それぞれにかかる時間を反映する
  7. スケジュールに無理・矛盾がないかを検証して基準とする
  8. 進捗を管理しながら調整する

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