前回のエントリーでは、順序設定されたWBS(やること)にそれぞれ必要期間を入力し、クリティカルパスを特定をするところまで行いました。今回は設定した期間の検証や、調整の方法について記載します。
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前提:このエントリーは、以下の方を想定して書いています。
なお、前回記事の完成例は適宜以下からダウンロードください。
完成例
前回行った期日の設定では、開始から終了まで60日間、準備が終わるまで43日間必要なことがわかりました。もし、これで問題無ければこの計画で進めればよいですが、そんなに待てない! もっと早くしたい! となった場合は調整が必要になります。
ここでは仮に開始から準備終了までを30日間で終了させることを目指すことにします。
前回のエントリーで、クリティカルパスについて触れました。
クリティカルパスはそのプロジェクトを完了させるタスク群のつながりのうち、もっとも時間を必要とする経路です。このパス上にあるタスクの遅れはすなわちプロジェクトの遅れと書きました。
逆に言えば、スケジュールを短縮したい場合は、クリティカルパス上のタスクの調整をしなくてはいけないということになります。
ではクリティカルパス上のタスクに対してどういう調整をすればよいかというと、大きくは以下の3種類。
このようにして、プロジェクトの終了や特定のマイルストーンの期日を希望のタイミングになるように調整します。
調整前のクリティカルパスは以下のラインを通っています。
そのためその経路にある以下のタスクを縮めることにしました。
この結果、「1.4.4 準備終わり」が開始から30日目に収まりました。一方でクリティカルパスが以下のラインに移動しました。
つまりこのことは、期日を優先したこのスケジュールで、以下のポイントに注意しなければいけないということを示唆します。
このように進行上注意すべきところが明確になることで、同時並行でタスクが発生したときにどの優先度で進めて行くべきかということを判断する助けになります。
ここで調整をしたタスクが、このプロジェクトのスケジューリングにおける要注意タスクとなります。
本来であれば余裕を持って段取っていたタスクを、期日優先・リスク承知で調整した、そこを積み上げからの調整で明確に認識できました。前回のエントリーで「まずは逆算しない」と書いたのは、この積み上げからの調整でスケジュール上の無理や矛盾、注意点(=リスク)を認識することを目的としています。
期日逆算は時間的な制約が多いプロジェクト運営においてはとても大事。でも、はじめから期日逆算をしないことで見えてくるものもある、ということです。
最後となる次回は、実際にプロジェクトが走り始めてから進捗の記録と、当初計画との差異がでたときの検出方法について書きたいと思います。
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